小児歯科

小児歯科①舌小帯

子供の口のはじめの分岐点はいつ?

お子さんが何歳の時から、お口の中のことを気にされていますか?
虫歯にならないように歯を磨くこと、お菓子をあまり与えないこと、0歳から歯科検診に行くこと。
忙しい中、こうやってお子さんを守ってあげられる保護者の方には本当に頭が下がります。
だからこそ、巷ではあまり言われていないことも知って欲しいと思い、このページを作りました。

子供は生まれ出た時から、ある年齢に達するまで心身ともに成長の一途を辿ります。
その発達段階は後戻りのできない、1つ1つがとても大切なプロセスで、そこで何をするかが将来の心身の健康を左右すると考えています。

私が考える口の問題の第一分岐点は、生まれた瞬間です。
生まれた瞬間、昔は産婆さんが赤ちゃんの舌小帯(ベロの下にある薄いヒダ)を素早く、ピッと切ってくれていたのを知っていますか?
ここ数十年、日本では出産時の舌小帯の切除が中止されました。
必ずしも切る必要はないとする考え方が日本では一般的です。(*1,2)

一方で、発音や摂食・嚥下障害、睡眠呼吸障害、歯並びが悪くなる、口腔衛生問題、母体の乳腺炎のリスクなどその弊害もまた、訴えられています。(*3,4)
有名な母乳育児推奨の桶谷式でも、舌小帯の異常により身体中力が入ってしまい、うまく授乳できない赤ちゃんが増えていると言います。

「舌小帯」1つをとっても、議論は平行線です。
私は基本的に舌小帯は切除した方がいいと考えていますが(正直、出生時に切っておいて欲しい!)、舌小帯がどの程度その子に悪影響を与えるかを判断した上で、保護者の方の考え方も含め、その子にとってベストな選択をしたいと思っています。

*1 小帯に関する全国小児歯科開業医会 の考え方 JSPP全国小児歯科開業医会
*2 仁志田博司ら 舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果 日本小児科学会(2001)
*3 Holly Cordray et al.The Impact of Ankyloglossia Beyond Breastfeeding: Nov 6;32(6):3048-3063. A Scoping Review of Potential Symptoms.Am J Speech Lang Pathol(2023)
*4 Holly Cordray et al.Severity and prevalence of ankyloglossia-associated breastfeeding symptoms: A systematic review and meta-analysis.Mar;112(3):347-357. Acta Paediatr(2023)


Hiroshi Ono.Maxillofacial Development of the Recent Japanese Children..Nov448-458.J. Stomatol.Soc.Jpn(1998)

PAGE TOP
error: Content is protected !!