小児歯科
小児歯科②おしゃぶり
第二分岐点はおしゃぶり?筋トレは大事です!
さて、舌小帯の生まれた瞬間の切除は難しいので、次に行うことはなんでしょう?
私がお勧めしているのは、おしゃぶりをすることです。
日本では、前歯と奥歯が噛み合わなくなる危険性を考え推奨していません。(*1)
確かに、明確なエビデンスはないものの、おしゃぶりが噛み合わせに悪影響を与えるというデータもあります。(*2)
WHOでも「母乳育児を成功させるための 10 のステップ」中で、おしゃぶりをすると母乳を飲まなくなると述べています(*3)が、実際の研究からその可能性は低いという報告もあります。(*4)
一方で、SIDS(乳幼児突然死症候群)を防いだり、(*5)離乳後の口の運動機能を整え、酸素レベルの上昇や心拍数の低下も報告されています。(*6,7)
いつまで使い続けるといいのでしょうか?
中止年齢に関しては意見が異なるものの、噛み合わせが悪くなることを最小限に抑えるために、3歳〜4歳までにその習慣を中止すべきであるということで一致しています。(*8)
おしゃぶりをすることで健康状態が良くなるとされる1番の理由は、おそらく舌の筋肉トレーニング効果によるものでしょう。
筋トレをしないと、筋肉は衰えていきますよね。
口の周りにもたくさんの筋肉があり、歯の内側にある筋肉は舌だけです。
その舌を鍛えなければ、口の周りの筋肉に押されて、歯並びは悪くなってしまうのです。
歯並びが悪くなると、身体の中に取り入れられる酸素量は少なくなり、集中力や免疫の低下を招くことになります。
乳歯の時期がとても大事です!
永久歯が生え変わる前の4歳までに、口の周りの筋肉に負けないお口環境を整えましょう。
*1 小児科と小児歯科の保健検討委員会「おしゃぶりについての考え方」(2005)
*2 Karin Michèle Schmid et al.The effect of pacifier sucking on orofacial structures: a systematic literature.Mar 13;19(1):8.
Prog Orthod(2018)
*3 Protecting, promoting and supporting breastfeeding in facilities providing maternity and newborn services:the revised Baby-friendly Hospital initiative:(2018)implementation guidance: frequently asked questions https://www.who.int/publications/i/item/9789240001459
*4 Sharifah Halimah Jaafar et al.Effect of restricted pacifier use in breastfeeding term infants for increasing duration of breastfeeding.Aug 30;2016(8):CD007202. Cochrane Database Syst Rev(2016)
*5 Bruno Zavala Abed et al.How might non nutritional sucking protect from sudden infant death syndrome.Oct:143:109868.Med Hypotheses(2020)
*6 Harding CM et al.The use of non-nutritive sucking to promote functional sucking skills in premature infants: an exploratory trial. 2:238–243. Infant.(2006)
*7 Nyqvist KH et al.Expansion of the baby friendly hospital initiative Ten steps to successful breastfeeding into neonatal intensive care: expert group recommendations. 29:300–309. J Hum Lact. (2013)
*8 Welma Lubbe et al.When is the use of pacifiers justifiable in the baby-friendly hospital initiative context? A clinician's guide.Apr 27;17(1):130. BMC Pregnancy Childbirth(2017)
小児歯科
-
小児歯科①舌小帯
大人が子供にしてあげられること、それは大人になった時に心身ともに健康でいられるための基盤作りをすることだと思っています。
-
小児歯科②おしゃぶり
おしゃぶり、させていますか?ダメって聞きました?筋トレしないと筋肉が衰えるのと同じように、お口の筋肉も鍛えましょう。
-
小児歯科③虫歯
子供の虫歯を治療する理由はなんだと思いますか?もちろん、お口の環境向上もありますが、大人の歯が生え変わるまでのスペースを守るために乳歯が大切だからです。
-
小児歯科④歯科医院へは何歳から?
何歳ごろから連れてきたらいいですか?と聞いて下さる保護者の方へ
-
小児矯正①なぜ小児矯正が重要なのか
噛み合わせの安定には、成長期に顎を筋肉のリラックスした位置に誘導することがとても大切です。安定した顎の位置と歯並びは将来的な虫歯や歯周病、肩こりや冷え性などの不定愁訴を予防します。
-
小児矯正②いつから始めるのか